このサイトを作ったそもそもの目的は、私の考える治療の基準を多くの人に知って欲しいと思ったからです。
治療と言う言葉を使いましたが、ひょっとしたらこの治療と言う言葉は適当でないのかも知れません。
と言うのも痛いから痛みを取る、と言うだけの行為を治療と言うのなら私の提案する考え方は治療とは呼べないからです。
私の中ではコンディショニング(コンディションを調整すること。)と言うのが一番近いような気がしています。
痛みがあるから痛みを取り去る。
これももちろん重要な事なのですが、そこからもう一歩踏み込んで、痛みの出にくい体を取り戻す。つまり歪んだ骨格系や筋肉系を最適化する事がさらに重要であり、さらにもう一歩踏み込んで最適化された状態を維持する為にトレーニングを持続するところまで目指したいと考えるからです。
また具体的な痛みが無いと言う場合でも、QOL(quality of life)つまり〝生活の質〟やADL(activities of daily living)の〝日常生活動作〟をもう少し拡大して解釈すると、より積極的なQOLやADLが獲得されているかどうか、と言う問題が見えてきます。
例えば日常生活の中で普通に歩く事には 問題が無いが、階段を2段飛ばしに駆け上がる事が出来るかとか、変わりかけた信号を楽に走って渡りきれるかとか、重いスーツケースを楽に網棚に持ち上げられるかとか、電車が急に揺れてもよろめかないで立っていられるかなど、日常生活の中でも一歩踏み込んでみるとその質には様々なレベルがある事が理解できます。
また膝が痛くて階段の昇降がしにくいと言う場合はやはり治療を優先しなければならない訳ですが、膝の痛みの原因の中に、膝関節の周りの筋肉の弱化や、膝関節そのものの位置の異常、さらに関節内部の骨の関係(アライメント)の異常などがあれば、これも修整する必要があるし、これらの位置関係が修整、最適化されたなら、今後悪い状態に戻らないようにするために、関節周囲の筋肉を強化しながら再教育していく必要も出てくる訳です。
①治療(痛みを取る)⇒②関節の修整、最適化⇒③状態維持(トレーニング)
これが私の言う治療の新基準の流れなのです。
①から③まで行うのが理想なのですが、例えば痛みが有れば①だけで終わるのではなく、せめて最低限②のレベルまで同時に行えないと適切な治療とは言えないだろうし、痛みが無くとも様々な身体的なトレーニングを行う際には、いきなり③に行くのではなく先ず②から入ってから③に行くと言う事が一般的になれば、トレーニングで体を壊すと言う事は避けられるはずです。
今はまだ①~③までをシームレスにできる施設と言うのは皆無に近いようですし、特に②が省かれているのが実情ですが、痛みや障害の予防と言う観点からは②が非常に重要な役割を持っています。
②は具体的には姿勢に代表される事が多いのですが、実際は姿勢だけではなく、各関節の位置の異常と動きの異常も含んで考えなければなりません。
こうやって考えて見ると、私の提案はごく当たり前の事を言っているだけだと思っていただけるかも知れません。
しかし一般的な現状を考えると、現実はまだまだ程遠いところにあるようです。
先日もあるサイトで、〝本当はトレーニングは体に悪い〟と言う事を書いたら、ひどい非難を受けました。
前後の文脈を無視してその部分だけで非難された訳です。
その前後には姿勢の問題など、他の事も書いているのですが、要は姿勢を無視していたずらに重い負荷をかける事が体に悪いと言っているのですが、非難した人の前提にはトレーニングは全て体に良いと言うインプットがあったのでしょう。
トレーニング一つ取っても、体にとってのプラスとなるかマイナスとなるかはまさに紙一重だと言えるはずです。
痛みの治療を受けるにしても、体に良いはずのトレーニングを行うにしても、いずれにしても全体的なバランスを考えながら行う事が重要だと考えています。
a:2038 t:1 y:0