側弯症のページ
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側弯症について
側弯症と言う言葉はたいていの方は一度くらいは聞いたことがあるかと思います。
脊柱(背骨)は正常な状態であれば普通はまっすぐなのが当たり前です、しかしこの病気では、側方(横方向)に弯曲していたり、或いは脊柱がねじれています。
痛みを伴うことはあまりないので児童期などのなりはじめでの発見が難しく、ある程度成長してしまってから気がつく場合が多いようです。
肩やウェストの高さが左右で違うと言った外見上の問題や、極度の弯曲になると、腰や背中の痛みに加え、胸の圧迫や変形による呼吸器の障害や循環器などの障害など、内臓に影響を及ぼす事もあるようです。
学校での健康診断で脊柱検査が行われるようになってからは、比較的早期の発見が可能となりました。
側彎の一般的な治療法について
一般には専用のコルセットなど、装具つけて長期間にわたって維持させる療法が知られていますが、小学生や中学生の時期にこのコルセットをつけている事がいじめの原因になる事や、コルセットによる動きの制限などの不自由さは、つけている本人にはかなりの苦痛を強いる事になるようです。
またコルセットで完治することは無いと言うのが一般的な考え方です。
最近ではウサイン・ボルトが脊椎側弯症からくる肉離れに悩まされていた事が知られています。
また彼の場合はコーチの指導による筋肉の強化によって克服した事が知られています。
実際の治療にあたって
私が治療を仕事にするようになってから30年あまりの間に、本人の自覚の有無には関係なく、実際に関わった側弯症と思われる患者さんの数は、実は非常にたくさんあります。
軽度のものであれば用手運動療法(フィードバックSOUTAI)などを用いる事でかなりの改善をみる事ができます。
一例ですが患者さん本人が母親の胎内にいる時に、レントゲンで被爆したらしいと言うケースでは、肋骨の形成が明らかに左右で異なっていて、器質的な発達異常がありましたが、こんなケースでも用手運動療法は自覚症状の改善に非常に役立ったようでした。
これは20年以上前のケースでした。
ただこの時はまだ骨格系と筋肉系を整える事に終始していた為に、背部の筋肉の左右差を整えるところまでは行きつきませんでした。
先のウサイン・ボルトのケースでもあったように、実は程度にもよりますが側弯症に対する筋力トレーニングと言うのは非常に重要だと考えられるのです。
この側弯症に関しては程度が進むと〝完治〟すると言うのは非常に難しいのですが、私が関わった患者さんに対しては、先ずご本人が抱えていた症状を和らげることと、外見的に目立たなくすることを目指して治療に取り組んでいます。
特にここ10年くらいは、用手運動療法に加えて加圧トレーニングを取り入れる事で、軽い負荷で筋力を上げる事や筋肉の量を増やすことが可能になり、側彎によって生じていた外見的なアンバランスがかなり短期間で改善されるようになって来ています。
またアメリカから入ってきた運動療法の一種であるエゴスキューメソッドなども、これに加えてより良い結果をもたらすようになってきています。
私が考える側彎症改善の条件について
私は特に側弯症が専門と言う訳ではありませんが、やり方によってはご本人が諦めているような側弯症もかなりの改善が期待できると考えています。
先ず骨格系と筋肉系を整える
その為の条件としては、先ず体の歪みを改善する事が優先されます。
私は主に操体法をベースにしたオリジナルな用手運動療法である〝フィードバックSOUTAI〟を用いていますが、特にこの方法にこだわる事はありません。
要するに骨格系と筋肉系の両方を同時に調整できる方法であればそれで良いかと思います。
歪んだり捻じれた脊柱を真っ直ぐに戻すためには、その歪んだ状態を維持させている筋肉を正しい状態に近づけ、再教育する必要があるからです。
筋肉の発達状態を整える
次に重要な事は左右異なった状態で発達している筋肉の状態を、できるだけ左右同じ発達状態に近づけてあげる事です。
例えば背骨を直接支えている脊柱起立筋などの発達に左右の差がある場合などは、未発達な側の筋肉に負荷を与えて強化し、左右の不揃いな状態を整えて行く事が必要となってきます。
ただしウサイン・ボルトのようなアスリートであれば、かなりの重量負荷を与えてもそれに耐えるだけの基礎的な筋力が出来ていますが、普通の少年少女や一般の女性などには難しい面もあります。
ここで私が用いているのは〝加圧トレーニング〟なのです。
加圧トレーニングは用い方によっては、ごく軽い負荷で筋肉の発達を促し、筋力の向上をはかれる事が知られています。
側彎によってできた体の右と左の筋肉の発達の差を、加圧トレーニングと適切なメニューの組み合わせで軽い負荷を用いるだけで改善できる。
私はこれは側彎症の改善において、実に画期的な出来事だと考えています。
筋肉を再教育する
最後にもう一つ大切な事、それは筋肉を再教育してあげる事です。
長年に渡って歪んだ状態を当たり前だと思い込んで育ってきた筋肉、いや脳に「これが正しい状態なんだよ」と教えてあげないと、筋肉の持つ可塑性と言う特性から元の状態に戻ろうとします。
用手運動療法のところでも筋肉の再教育については触れましたが、さらにもっと積極的に筋肉の再教育を行うために、現在私はアメリカから来たエゴスキューの運動療法を取り入れ、個人の状態にあった運動プログラムを作成して、これを実施してもらっています。
さらに現在はもう少し手軽に効果のあげられる器具の導入なども検討中しています。
最後に
側弯症は治らない、そういう風に自分で決めている人が多い事は本当に残念です。
確かに西洋医学的な〝完治〟と言うのは難しいかも知れません。
しかしたとえ側弯症があっても、もっとQOLを向上させる事や、例えば薄着をしても殆ど目立たないようになれる、と言う可能性まで捨ててしまう事は無いと思うのです。
男性なら「そんなに気にしないよ」と言って済ませている人もおられるでしょう、でも女性の場合はできるだけ側彎が目立たないように、服装にも気を遣い、夏でも体のラインが出ないような服装を選んで着ている方もおられます。
側弯症が治るとは言いません、しかし上手に治療とトレーニングを組み合わせれば、恐らく今よりはずっと気にならなくなる事は間違いありません。